旭区の怪談 鬼女伝説「榎ばばあ」

〈プロローグ〉

 

「さかもっちゃん、、、エノキババアって知ってる?」

 

 

と尋ねたら

 

 

「何ですのんソレ、”白くて細長くって束になった”小さなお婆さんですか?」

 

 

 

 

「そらエノキ茸ババアや!」

 

 

 

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「エノキばばあのイメージ図1」作:さかもっちゃん

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「エノキばばあのイメージ図2」作:さかもっちゃん

 

 

「それはそれで気色悪い思うけど、
ホンマのエノキババアのエノキは樹木の榎(エノキ)やねん!
大昔のここら辺りに生えていた榎の巨木に住む怪異の話やねん。」
「・・・それはこんな話やねん」

 

 

 

 

【旭区の怪談】鬼女伝説〝榎ばばあ〟の謎

 

 

いつものように千林界隈の謎を調べていると〝榎ばばあ〟という怪異の話と巡り合った。

〝榎ばばあ〟なんやそれ?と興味に魅かれて記事を読んだところ。

 

その昔(平安時代の頃)千林を含む地域一帯に茂る森の中の榎の巨木に住み、
人々を襲った鬼女のことだとわかった。

 

今でこそ賑やかな商店街や国道などが通り、
夜の静寂や暗闇が絶えてしまった感があるのだが、
〝千林〟や〝森小路〟の地名に見られるように、
平安の時代には鬱蒼とした森や林が広がる中に小さな道が通るような地域で、
昼間でも人気が少なく、夕闇に包まれる刻には
余程の理由が無い限り誰も通らない場所になったのだろうと想像出来る。

 

その怪しの杜(もり)に住み着き、
人々の恐怖の対象となっていたのが鬼女が〝榎ばばあ〟であったのだ!

 

その結末や如何に?

 

 

 

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「榎ばばあのイメージ図」作:島山岩燕

 

 

この伝説のひとつの資料として、
旭区にある大宮神社の『参拝のしおり』に記載されている一文に

 

“平安時代に往来の人々を悩ます鬼女を
朝命により橘氏ら侍が討伐し、
森小路の土地を賜り名主となったという
鬼女退治伝説などが挙げられます。”

 

とある。

 

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大宮神社

 

 

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『大宮神社参拝のしおり』

 

 

つまり往来の妨げとなる怪異〝榎ばばあ〟を、
朝廷の命令を受けた勇猛果敢な侍たちが退治して平和が戻り、
お侍さん達は褒美に森小路の地を拝領しました。

めでたしめでたし。

 

 

話としたらこんなところで終わってしまうのだが、
〝榎ばばあ〟が住んだと言われる榎はどこにあったのか?
そこら辺りが現在に生きる我々に残された謎のひとつでもあります。

 

 

今市にある宝龍寺の境内にある榎では無いか?という説
(これは住職が該当する木が無いと仰っているようです。)

 

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宝龍寺の巨木

 

 

またその他にも「あそこに榎の巨木があった!」などの説があるのは、
歴史がある町 千林界隈ならではの良いところですね。

 

 

 

〈エピローグ〉

 

そやけどなんですなぁ、
昔話や伝説に鬼女とか鬼婆って出てくるけど
あんまし鬼男とか鬼爺の話が少ないのは何でやろ?
鬼はまぁあるとして鬼爺なんか聞いたことも無いような・・

 

謎やなぁ・・なんでやろなぁ?

 

と黙々とモニターに向かい思案してたら・・

あっ!背後に誰かが立ってるようだ・・

 

まぁつまらん話はせんのが大人やね、特に女性の話はね。(笑)

 

 

 

 

記:つばめ小僧

引用:『千林・今市界隈の思い出』井上宏 著 第一話、第二十四話、四十四話、
『大宮神社参拝のしおり』より

更新日:2015年08月18日| あるく